爪水虫(爪白癬)について

足の爪が厚くなって白く濁った部分がある、爪が変形している、爪の表面や先端がボロボロにもろくなって崩れてしまう…、もしかしたら、それは爪に現れてしまった「水虫」かもしれません。

爪水虫(爪白癬)ってどんな病気?

爪水虫は、水虫(足白癬)と同じく白癬菌(はくせんきん)に感染して起こる皮膚病のことで、爪白癬(つめはくせん)と呼ばれています。白癬菌が爪の中に入り込んでしまったことにより症状が起こります。日本では爪白癬の患者さんはおよそ10人に1人いるといわれているほどありふれた皮膚病です。そのうち60歳以上の患者さんが40%以上を占めているといわれています。ほとんどの患者さんはすでに足白癬にかかっており、足の感染から発症することが多いようです。皮膚よりも硬くて厚い爪の中に白癬菌がいるので、足白癬よりも治療に時間がかかってしまうことが特徴です。
爪白癬の患者さんのほとんどで、足の親指に感染が起こっています。爪白癬は痛みやかゆみの自覚症状がほとんどないので気づきにくく、爪の白濁や変形などが進行してから気づくケースがほとんどです。爪白癬にかかると、爪が厚くなり、白く濁ります。症状が進行すると、爪の表面や先端がボロボロになりもろくなって崩れたり、変形したりします。さらに悪化すると爪の周りに炎症が起きて痛みを感じることもあります。自然に治ることはなく、放置していると他の指の爪にも感染がひろがっていきます。

爪水虫(爪白癬)の原因は?

爪白癬も、水虫(足白癬)同様、白癬菌が感染して発症する皮膚病です。白癬菌が爪と皮膚の間から侵入し、感染します。足白癬の患者さんでは、爪にも感染していることが多いので注意が必要です。

爪水虫(爪白癬)はうつる?

足白癬同様、爪白癬は感染します。銭湯やプールの足拭きマットには90%の確率で白癬菌がいるともいわれていますし、家族に足白癬の患者さんがいて、素足で歩き回ったりバスマットやスリッパを共有したりしている場合には常に家庭内に白癬菌がばらまかれている状態ですので、高確率で他の家族にもうつってしまいます。治療にあたっては、感染しているご家族全員で治療を受け、バスマットやスリッパなどの共有を避け、再感染の機会を防ぐこともたいへん重要です。

爪水虫(爪白癬)は治る?

爪白癬はしっかり治療を行えば完治する病気ですが、感染した爪が完全にあたらしく生え変わるまできちんと治療を続ける必要があります。足の爪が完全に生え変わる期間は、親指で半年、小指で1年といわれていますので、医師の指示に従って根気よく治療を続けましょう。

爪水虫(爪白癬)の診断

問診と、肉眼による診察を行った上で、感染が疑われる爪の一部をとって顕微鏡で白癬菌の有無を調べる検査を行います。

爪水虫(爪白癬)の治療法

爪白癬の治療では内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)を使います。足白癬で使われる外用薬では爪の中までなかなか薬剤が浸透しにくく、これまでほとんどの爪白癬で内服薬による治療を行っていましたが、最近は爪の中にも浸透する塗り薬が使われるようになってきています。いずれの治療でも、白癬菌に感染した爪が完全に生え変わるまで治療を続けることになりますので、完治まで半年〜1年ほどかかります。
内服薬は、血液検査を行い、肝臓の機能に問題がないか調べてから治療を開始します。治療を続けて効果が不十分だと医師が判断した場合には、ほかの抗真菌内服薬に変更することもあります。

爪水虫(爪白癬)治療のコツ

爪白癬を完治させるためには、根気よく治療を続けることはもちろんですが、患部を清潔に保つことがとても大事です。帰宅して靴を脱いだらまず足を石鹸で洗うクセをつけましょう。きれいに洗ったあとは水分をしっかり拭いて乾燥させましょう。また、外用薬は皮膚がやわらかくなっているお風呂上がりに塗るのが効果的です。

爪白癬は足白癬同様、治療を行えば治る病気です。周りのご家族にうつさないように、きちんと治療を続けて、健康できれいな足を取り戻しましょう。