水虫(足白癬)について

TVコマーシャルでもよく目にする「水虫」。なかには皮膚のジュクジュク、つらいかゆみなどの明らかな自覚症状のない水虫もあるってご存知ですか? かゆくない小さな水ぶくれ、かかとの皮膚が厚くガサガサして粉を吹いている…、もしかしたら、あなたも水虫にかかっているかもしれません。

水虫(足白癬)ってどんな病気?

水虫といっても、虫が原因の病気ではありません。水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が感染して起こる皮膚病のことです。白癬菌は身体のいろいろな部位に感染し、感染した部位によって呼び名が変わります(手白癬、体部白癬、股部白癬、足白癬、爪白癬)。なかでも感染がダントツに多い部位は足で、足白癬(あしはくせん)と呼ばれています。足白癬は、足の指と指の間の付け根、足の裏、足のふちなどにあらわれます。タイプによって症状はさまざまです。

趾間型(しかんがた)

足の水虫の中でもっとも多いのが趾間型です。足の薬指と小指の間にできやすいのが特徴で、足指の間の皮膚が赤くふやけたようになってジュクジュクする「湿潤型」と、皮膚が薄くはがれて赤くなったり亀裂ができたりする「乾燥型」があります。

小水疱型(しょうすいほうがた)

足の指の付け根や足の裏、足のふちなどに小さな水ぶくれ(小水疱)ができるのが小水疱型の水虫です。必ずしもかゆみが出るわけではないので、放置してしまい気がつくと症状が悪化していることもあり注意が必要です。

角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

角質増殖型(角化型)の水虫は、足の裏全体、特にかかとの角質層が厚く硬くなるのが特徴で、見た目は粉を吹いたような状態になります。かゆみはありませんが完治が難しく、注意が必要なタイプです。

足白癬が起こりやすいのはジメジメした梅雨の時期や、高温多湿になる夏の時期。また、ブーツを履く冬にも多く起こります。白癬菌に感染する機会があればあらゆる年代で起こりますが、とくに一日中革靴を履く大人の足に起こりやすい感染症です。

水虫(足白癬)の原因は?

水虫は、白癬菌が感染して発症する皮膚病です。足に白癬菌がくっつき、角質層から侵入して感染しますが、足に白癬菌がくっついてもすぐに感染するわけではありません。白癬菌は、温度15℃以上で湿度70%以上の高温多湿の環境で急激に増殖します。例えば、長時間同じ靴や靴下を履いて蒸れた状態などは、白癬菌にとってまたとない好環境といえます。これまでは男性の患者さんが多かったのですが、最近では一日中仕事のために靴を履き続けたり、冬場のおしゃれでブーツを履いたりする女性の患者さんでも増えてきています。

水虫(足白癬)はうつる?

足白癬は感染します。銭湯やプールの足拭きマットには90%の確率で白癬菌がいるともいわれていますし、家族に足白癬の患者さんがいて、素足で歩き回ったりバスマットやスリッパを共有したりしている場合には常に家庭内に白癬菌がばらまかれている状態ですので、高確率で他の家族にもうつってしまいます。治療にあたっては、感染しているご家族全員で治療を受け、バスマットやスリッパなどの共有を避け、再感染の機会を防ぐこともたいへん重要です。

水虫(足白癬)は治る?

足白癬はしっかり治療を行えば完治する病気です。毎日外用薬を塗るのは面倒だと思うかもしれませんが、白癬菌を完全に退治する前に自己判断で治療をやめてしまうとまた再発してしまいます。通常、1〜3ヶ月ほどで完治が見込めますので、医師の指示に従って根気よく治療を続けましょう。

水虫(足白癬)の診断

問診と、肉眼による診察を行った上で、皮膚の一部をとって顕微鏡で白癬菌の有無を調べる検査を行います。

水虫(足白癬)の治療法

足白癬の治療では外用薬と内服薬を使います。
タイプ別に治療のポイントが異なりますから、それぞれの特徴をおさえた治療を根気強く行うことで完治を目指しましょう。

抗真菌外用薬(塗り薬)

趾間型と小水疱型では、外用薬の使用が基本となります。白癬菌を退治するために効果的な抗真菌薬を持続的に塗ることで、ほとんどのケースで完治が望めます。ただ、かゆみなどの症状が軽くなったからといって、自己判断で治療を止めてしまうのはいけません。症状がなくなっても白癬菌が潜伏している可能性がありますから、医師の指示に従って最低1ヶ月は治療を続けましょう。通常、1〜3ヶ月の使用で完治が見込めるといわれています。

抗真菌内服薬(飲み薬)

角質増殖型では、なかなか外用薬が効かないため、内服薬での治療となります。角質増殖型は再発がとても多いため、根気よく治療を続けることが完治への道です。

水虫(足白癬)治療のコツ

足白癬を完治させるためには、根気よく治療を続けることはもちろんですが、患部を清潔に保つことがとても大事です。帰宅して靴を脱いだらまず足を石鹸で洗うクセをつけましょう。きれいに洗ったあとは水分をしっかり拭いて乾燥させましょう。また、外用薬は皮膚がやわらかくなっているお風呂上がりに塗るのが効果的です。

足白癬は治療を行えば治る病気です。周りのご家族にうつさないように、きちんと治療を続けて、健康できれいな足を取り戻しましょう。