脂漏性皮膚炎について

皮脂の出やすいTゾーン、髪の生え際、耳の後ろ、襟足などに赤い湿疹ができてかゆみがある、ニキビのような吹き出物がなかなか治らない、フケやかゆみに悩まされている・・・。その症状、もしかしたら脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)かもしれません。

脂漏性皮膚炎ってどんな病気?

脂漏性皮膚炎は、顔や頭など皮脂の分泌が多い部分にあらわれやすい慢性の湿疹です。そのほかにも髪の生え際や襟足、背中の上部などにも多くみられます。女性では妊娠・出産などでホルモンバランスが変化したタイミングで発症することもあるようです。
おもな症状としては、赤くカサカサした湿疹がぽつぽつとみられ、かゆみを伴うこともあります。自覚症状として気づかれるのは、フケの増加です。顔の症状の場合には額や鼻の脇、こめかみなどに赤みを帯びたカサカサした細かい皮膚がくっついているのがみられます。皮脂分泌が活発になると症状が出やすくなりますから、季節の変わり目や暑い季節には症状が強くあらわれます。皮膚科を受診する人のうち、2〜3%は脂漏性皮膚炎といわれていますので、けっして珍しい病気ではありません。

脂漏性皮膚炎の原因は?

脂漏性皮膚炎のはっきりとした原因はまだわかっていませんが、近年、ヒトの皮膚に住む常在菌である「マラセチア菌」の異常増殖が発症に関与する重要な因子だとわかってきました。マラセチア菌は真菌の一種で、通常はバクテリアなどから皮膚を守る役割をしていますが、さまざまな原因によりマラセチア菌が異常増殖すると、皮膚の炎症を引き起こす脂肪酸を作り出し皮膚が過剰反応して脂漏性皮膚炎を発症します。
マラセチア菌の異常増殖の原因として、脂肪の多い食事や刺激の強い食べ物の摂取、精神的ストレスや睡眠不足などがあげられます。

脂漏性皮膚炎はうつる?

脂漏性皮膚炎は、感染する病気ではありません。皮膚の発疹に触れたり、温泉やプールに一緒に入ったとしても、他の人にうつることはありません。

脂漏性皮膚炎は治る?

脂漏性皮膚炎は治療を始めてから1〜2週間ほどで症状が改善しますが、悪化・再発するケースも多くみられます。症状が悪化した場合には、ステロイド外用薬などを使って治療を行います。皮脂分泌の多い季節には再発する可能性も高いので、再発した場合には、脂漏性皮膚炎を悪化させる原因(精神的ストレス、過労、睡眠不足など)をできるだけ避けてマラセチア菌を増殖させない皮膚環境を保ちながら、気長に治療を続けていく必要があります。

脂漏性皮膚炎の診断

問診、肉眼による診察で皮膚の状態を調べます。白癬やカンジダなどの他の真菌感染症との鑑別のために、皮膚の一部をとって顕微鏡で調べる検査を行う場合もあります。

脂漏性皮膚炎の治療法

脂漏性皮膚炎治療では、塗り薬と飲み薬が使われます。

抗真菌外用薬(塗り薬)

脂漏性皮膚炎の大きな原因であるマラセチア菌の増殖を抑えるために、抗真菌外用薬が使われることが多いです。ゆるやかな効き目で、副作用も少ないといわれています。通常、1〜2週間の使用で症状の改善がみられるようです。

ステロイド外用薬(塗り薬)

抗真菌外用薬で一度改善した症状が再発した場合や、悪化してしまった場合には、ステロイド外用薬を短期間使用して炎症症状を鎮めます。

ビタミンB2やB6の内服(飲み薬)

脂漏性皮膚炎の悪化原因のひとつに、ビタミンB2やB6の欠乏が考えられています。ただし、このおくすりのみで脂漏性皮膚炎が完治するというわけではなく、あくまで予防的な意味合いで処方されます。

かゆみ止めの内服(飲み薬)

かゆみがひどいときには抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などのかゆみ止めの飲み薬が処方されます。

脂漏性皮膚炎の予防

塗り薬や飲み薬で症状が改善しても、マラセチア菌が増殖しやすい皮膚環境のままではまた再発してしまいますから、生活習慣の改善はかなり重要といえます。

  • 適切な洗顔と洗髪
    皮膚を清潔に保つことが発症の予防や症状の改善につながります。洗顔は朝晩の1日2回、洗髪は毎日、できれば低刺激性のものを使ってゴシゴシこすらないようにやさしく丁寧に洗いましょう。
  • バランスのとれた食生活
    脂肪の多い食事を避け、ビタミンBを多く含む食材や食物繊維の多い食材を積極的に摂りましょう。また、アルコールや香辛料の摂りすぎは皮脂分泌を促しますから控えたほうがよいでしょう。
  • 規則正しい生活
    精神的ストレスや過労は免疫力の低下を招き、脂漏性皮膚炎を悪化させる可能性があります。睡眠を十分にとって、その日の疲れを翌日に持ち越さないようにしましょう。